アラビアンナイトを語らせてくれ!


ようこそ深層へ。
影香とは何の関係もないアラビアンナイト萌えを叫ぶ部屋です。


はじめての出会いは、児童書(世界全集みたいな)からだったと思います。
『アリババ』『シンドバット』『アラジン』『空飛ぶ馬』『三つのりんご』
なんかだったと。
あとはアニメでしょう。『シンドバットの冒険』とか。
次にラングの童話集。


そして、高校生の私は成り行きで大人向けのアラビアンナイトを開くことになるのです。
ぶっちゃけ、成田美名子の『みき&ユーティ』のせい。
作中劇で主要キャラたちが「カマル・アル・ザマンの物語」を演じておりまして。
「アラビアンナイトの恋物語かー。ロマンティック!」
折りしもやはり興味を持った友人からこれを脚本にしてくれと言われ(当時脚本専門で演劇部所属)、
図書室でハードカバーを開いたのですが。
……このまま上演できる内容とは思えませんでした。
今から思えばその時の本はマルドリュス版だったと思います。推測するに岩波書店出版の。
立派なハードカバーの上下二段組だったことしか覚えていませんがその内容から。

三人の魔神が裁定をくだす世界一の美形はカマル・アル・ザマン王子かブドゥール姫かと議論の末に眠れるふたりを攫ってきて並べる。
あまりに甲乙つけがたかったので、一人ずつ起こして王子と姫の反応を見ると……。
王子も王女も互いに一目で恋焦がれて……寝ている相手にキスや愛撫を……。
姫なんざ処女を捧げちゃうんだぜ!
ついでに言うと王子と姫は男女の差はあれど瓜二つ。
それってナルシストじゃん!

……ツッコミどころ満載の上、とても皆に内容をそのまま告げることはできずに、魔神三人のドタバタと姫の幼馴染をクローズアップしてお茶を濁した記憶が……。
結局その話は演じられることなく、原稿も紛失しましたが。
ですが、これが私とアラビアンナイトの本格的出会いではあったわけです。


どこからその情報を拾ったのか、大学生の頃に
「アラビアンナイトにはバートン版とマルドリュス版があり、過激なのはマルドリュス版」
そう言われたらマルドリュス版が読みたいじゃないですか(笑)
そこでせっせと文庫を集めることになるのです。
確かにアラビア人の人種的性格なのでしょうけど、とにかく熱く、激しやすく。
それはもう簡単に男女は関係を持ってしまうのです。
昔は発禁本扱いにもなったそうですから。
しかしその表現は現在のエログロ表現に慣れた身からすると非常にあっさりとした描写です。
一行で終わるほどの。
エロティックな内容は最初ほどのインパクトはなかったですが、あっさりと人が殺されたりするのには少々辟易いたしました。


今回、アラビアンパロを書こうとバーンズ版を読み始めました。
バーンズはなんというか、余計描写が多いというか。
注釈はすごい面白いけれど。
そもそものきっかけであった「カマル・アル・ザマン」、余分な後日譚はいらないよー。
夢壊れた。なかったことにしよう、うん。

しかし『荷担ぎ男と三人の女』の話のふざけっぷり。どの話よりもインパクト強し。何しろ性器の呼び方を色々連呼してくれるんで、ちょっと引いた。
しかもそこまでじゃれさせておいて本番なしって、荷担ぎ男がさすがに憐れだった。
その話の中の三人の隻眼の修行僧の話は「それ、自業自得」との感想アリ。

アラビアンナイト界の水戸黄門、ハールーン・アッラシードすなわちカリフ。
お供の助さん格さん引き連れて、面白ネタを求めてふーらふら。
あかんやろ。
しかしそんな彼が何故名宰相と言われたジャアファルを殺す理由が納得いかない(これは史実)。


ところで自分でアラビアンナイト風の話を書くためにいざイメージを膨らませようとして、はたと困りました。
アラビアンナイトで想像しているはずなのに、
インド、トルコ、エジプトが混ざる……!
衣装とか背景とか建物とか。
例えて言うならば『月の砂漠』の歌(大好き!)の砂漠の背景にタージマハルがあるようなもの。
これに関しては『アラビアンナイト 文明のはざまに生まれた物語』(西尾哲夫)で納得。
明治期にアラビアンナイトを日本でも紹介され始めたのですが。
日本の外国観が「日本・中国・インドより向こう」でしかなかったと。
これに「ヨーロッパ・アメリカ」が加わるわけですが、
はるか異国の物語は「インドより向こう」のイメージミックスとなるのですね。
おまけにイスラム圏だから、イスラム圏ならどこでも一緒なイメージが……。

衣装や紋様はマール社刊行の『世界の民族衣装』と『世界紋様全集』(タイトル違うかも)が参考になりました。
文庫でカラーなのに、今時びっくりの安さなのも愛しい。

ついでにコミックスのお話。
アラビアンナイトで漫画と言えば。
真っ先に思い浮かべるのが碧ゆかこの『はるか遠き国の物語』(秋田書店・文庫は朝日ソノラマ)。
これもイメージ先行のラブコメですね。
うん、だから「なんとなく」「ごちゃまぜ」でいいんだ、日本ではたぶん。
本格的なアラビアンナイトの漫画もあるとは思いますがあいにく味読です。
手塚アニメで千一夜があったような気もしますが。


このページは気が向いたら書き足したりもいたします。

ブラウザバックでお戻りください。