メルヒェン・フェスト あとがき 


〜第一夜〜
1.「幸福の王子」

原作はオスカー・ワイルド。
自己犠牲を払う王子(像)とつばめが痛々しいけれど美しいお話。
原作では金箔はがして配った後につばめが死んで、王子の心臓が割れます。
醜くなった王子像に怒った街の人によって像は溶かされますが、
どうしても溶けなかった王子の心臓はつばめの死体と一緒に捨てられます。
神様からこの街で一番きれいなものを持ってらっしゃいと言われた天使が
心臓とつばめを持って天に帰る……んですけどね。

天国で幸せになるより、この世で幸せになることに意義を感じておりますので改変。
劉輝と秀麗はわりと役どころにはまったかな、と思います。
2.「シンデレラ」

メルヘンの定番中の定番ですが、
秀麗をシンデレラにしたら、あまりにも当たり前な話にしかならないので却下。
(その場合、シンデレラ=秀麗、魔法使い=黎深で考えても良かったかもしれないけれど)

そうなると、彩雲国は女性キャラが少ないので自然男性キャラにシンデレラをさせることになります。
でも私、女装はもう飽きた(はあ?)し、女体化というものも理解できないしで、
あくまでもそのままのキャラでいてもらおうと。文化祭の劇じゃあないんだし。

なので「シンデレラ風殺刃賊 IN 静蘭」って話になりました。
一応、ちび王様のお兄さんと静蘭は別人ということでひとつ……。
燕青はどうなったかというと、師匠と修行の旅に出たんですよ、きっと。
3.「三匹のこぶた」

童話にはよく三人兄弟が出てくるので、どれかは紅三兄弟にさせようと思いました。
で、ある意味一番有名な三兄弟はこぶただったという(苦笑)
茶三兄弟でやっても面白かったかもしれません。
ところで。邵可のおばさんの名前、忘れましたよ(汗)

狼役は既存キャラにさせると可哀想なのでオリキャラ(?)です。
〜第二夜〜
4.「ジャックと豆の木」

あんまり絳攸らしさを出せなかったな、という意味で力不足。
元々の話、大人になってから読み返したら、「ジャックって、泥棒じゃん」とか感想を持ちまして。
人食い巨人のだからって、勝手に盗んじゃやっぱいけないよと。

ほとんど出番がないにしろ、黎深怪しすぎ(笑)
巨人はちょっと情けない風にしたかったので劉輝にやってもらいました。
5.「ヘンゼルとグレーテル」

一番改変がきつい話。
お菓子の家かと思われたのは、実は高級秘密娼館だったのです……。

「魔女に食べられる」展開をしなかった場合、あとは人身売買かと短絡に走った模様。
ちいさい楸瑛は一生懸命お兄ちゃんしようとしてますが、弟に通じていないのが哀れ。
ちびな楸瑛と龍蓮は、きっと見た目は可愛いんだろうな、とか思いながら書きました。
胡蝶の役どころがちょっとひどかったかと……。
6.「長靴をはいた猫」

キャスティングがはまって書き始めた話。ほとんど内容も改変してません。
ちなみに、これだけスラスラと記憶だけで名前だの展開だの書けてしまって、
子供の頃の私、どれだけこの話が好きだったのかと(苦笑)

変えたのは人食い鬼に最後に変身させるのを鼠から蚤に。
いや、猫役だからって燕青に鼠食べさせるのもどうかと抵抗が。

〜第三夜〜
7.「赤頭巾」

はじめは、お母さんに皇殻を持ってきて、一種のミッションとして暗号名「赤頭巾」こと清雅が、
暗号名「おばあさん」の秀麗と協力(?)して、やはり暗号名「狼」の陰謀を破る……
という話にするつもりでした。

しかし、秀麗に暗号名とは言え「おばあさん」はあんまりだし、たいした陰謀も思いつかなかったので、
もっとシンプルにしてみました。
狼のキャスティングは最初は桃仙人……だったなんて秘密です。

私に書ける清秀って、これが限界かなあ、とかも思います。
8.「ブレーメンの音楽隊」

当初、国試直後に龍蓮が貴陽で友どもと音楽隊を作ろうとして、秀麗たちが巻き込まれる……はずでした。
しかし、ひねりすぎて元の童話の影がなくなってしまったので動物のままでいてもらって書き直しました。

個人的な話ですが。
イヌ、攫って帰りたい……。

9・「カエルの王子」

原作ではどうなるか判らない珠翠と楸瑛ですが、
なんとなくこのキャスティングを思いついたらラストは動かしようもありませんでした(笑)
ただ、回し蹴りにするか一本背負いにするかは迷いました!
体勢的に回し蹴りは無理だったので背負いで一本!です。

〜第四夜〜
10.「金のがちょう」

正直者の役割、影月はまりますよねー!
香鈴も再登場した頃笑わなかったからぴったりかと思いまして。

そして燕青。君こそ名脇役だ!ありがとう!
12話も書いて燕青の主役話がなかったことに今頃気が付きました。
脇役で3作も出てるのに……。

11.「ラプンツェル」

童話に出てくる王子様という人種は、どうもロクな奴がいないというのが私の認識。
中でもこのラプンツェルの王子は最悪の類。
初版のグリム童話読んだんですけど、塔で何度もラプンツェルと楽しく過ごしたそうで。
………。
何か連れ去る方法の模索くらいしろよと。
妊娠発覚して追い出されたラプンツェル。
魔女にラプンツェルが死んだと聞かされて塔から身投げ。命はあったものの不具に。
もう、馬鹿すぎて言葉もありません。

なので、うちのラプンツェルはそんな馬鹿王子にかどわかされる前に良い若者と出会うということで。

涙が宝石になるので、暮らし向きにも困らなかった、たくさん貧しい人を助けた、
とか入れたかったんですが、ラストに入りませんでした。
これは口から出たものが宝石やらになってしまう祝福(?)を受けた別の童話からの改変です。

あと、魔女が何故赤ん坊を欲しがったかとか、塔に閉じ込めたかという自己流解釈も加えてみました。

12.「白雪姫」

一番最初に思いついて。ほとんど最後にできあがった話。
最初はすごいあっさりと書いてたんですけどねえ。

初版グリムでは、お后様が後妻だなんて表記は一切なし。
実の親子だなんて怖すぎますね。
腰紐・櫛は毒リンゴが出る前にお后が白雪姫に渡して殺そうとしたアイテムです。
衛兵と侍女はでっちあげ。
それを言うなら小人を小人でなくしてしまいましたが(笑)
だって、白雪姫の王子もかなり……なものですから。
絶対、小人相手の方が幸せになれるって!

そして、影月が刺客を追い払うにはどうするかなー?とかちょっと考えました。
このふたり、元凶が死んでしまったことを知らないので、いつまでも用心を重ねていくことになります。

トータルあとがき 『メルヒェン・フェスト』

誰もが知ってる童話を彩雲国のキャラでパロディにしよう……
ある日ふとそう思いました。
ですから、最初はどれももっと短いSSになるはずだったのです。
元の童話を留めているものあり、まったく別物ありと、
取り扱いキャラクター同様そこそこバラエティーに富んだ……なら良いのですが。
結局、グリム童話がメインになってしまいました。もう少しペローもがんばる予定だったのですが。

ちなみに、影香への愛が突出してるのは当然ということで!
どれかひとつでもお気に召したものがあれば幸いです。

  


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